こだわり

こだわり


さわってどうか

「編地をさわれば、
ニットの良し悪しはわかる。」

大先輩から入社当初に教わった言葉。
キャリアを積んだ、今でも私はそう考えている。その肌ざわりを決める要素は、大きく2つある。

1つは、編み。

そもそも、編みという工程は、糸を針で引いてループを形成すること。
その引く力の調整が、職人の腕が試されるところ。
引く力が、強ければループは大きくなり、編地としてやわらく、素材の表情が出やすくなる。
反対に、引く力が弱ければ、ループは小さくなり、
編地として重厚感がでて、高級感のある風合いとなる。
素材の表情を引き出しつつ、重厚感のある編地を編み上げるのは難しい。
さらに、難しい点はそれだけじゃない。
糸を引く力が強いと糸に負担がかかり切れる恐れがある。
また、引く力が弱いとループが形成しにくくキズが出やすくなる。
編み職人には、その強弱を見極める目が必要になる。

長年の経験で培った、その目と手で編み上げたものは、さわればわかる。

2つは、編地の洗い。

編地の風合いを左右するのは、仕上げの洗いという加工。
素材の力を最大限引き出すために、洗いの回転数・回転スピード、時間や水温を調整する。
一つ違えば、編地の大きさや風合いが変わってくる、非常に繊細な工程。
加工職人は、それぞれの編地や素材に合った加工を追い求めていく。
編み職人と加工職人の手によって、丸正のニットは作りこまれていく。

今日もまた、職人たちは、さわってどうかを自問自答し続けている。

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